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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7.5 (ガガガ文庫) 感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7.5 (ガガガ文庫 わ 3-12)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7.5 (ガガガ文庫 わ 3-12)
(2013/08/20)
渡 航

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依頼をさくさくこなす、お話


【簡略ネタバレストーリー】
○やはり比企谷八幡のおふくろの味はまちがっている。
 奉仕部の新たな活動である、千葉県横断お悩み相談メールに材木座や平塚先生からメールが寄せられ、適当に返信している。


○こちらとしても彼ら彼女らの行く末に幸多からんことを願わざるを得ない。
 千葉県の地域活性化のため、タウン誌で結婚特集が組まれ、それに総武高校も寄稿しなければならないらしく、平塚先生から奉仕部に寄稿の依頼が舞い込んだ。
 雪ノ下の案で、校内アンケートのサンプリングをしてみたが、ロクな答えが集まらず、小町にアドバイスを頼んでみた。
 すると嫁度が足りないと注意され、一行は家庭科室に連れていかれた。そこには戸塚と材木座もおり、八幡は二人とともに、平塚先生と雪ノ下と由比ヶ浜の手料理を審査することとなる。
 由比ヶ浜の手料理で昏倒した材木座の代わりに、八幡が由比ヶ浜の手料理をなんとか完食。雪ノ下の料理はおいしくいただき、小町は慣れた味付け、平塚先生に至っては、自信満々に丼ものを差し出してきた。
 続いて、お嫁さんの気持ちで小町のお題に答えることになる。主夫希望である八幡は自ら参戦する。
 しかし、由比ヶ浜以外は実に個性的でバイオレンスな回答、八幡はやはり捻くれた回答をしてしまい、小町の模範解答には程遠かった。
 そして最後は各自のウエディングドレス姿が似合っているかどうか対決となる。ちなみに戸塚は部活へ戻ってしまった。
 由比ヶ浜と雪ノ下はよく似合っていた。だが、それ以上に一同を驚かせたのは平塚先生だった。一瞬誰かわからないほど綺麗なそのウエディングドレス姿に、八幡も素直に感嘆するのだった。
 これらの結果から、小町は全員嫁度が低く、優勝者は自分だと発表しようとしたのだが、平塚先生のプレッシャーから、優勝者は平塚先生となった。
 そして最後は記念撮影をして嫁度対決は終了した。
 寄稿は結局、八幡のコラムと由比ヶ浜のイラストになった。
 

○もちろん、比企谷八幡の優しさは捻くれてる。
 千葉県横断お悩み相談メールに、戸塚と材木座からお便りが寄せられた。戸塚には優しく、材木座には厳しく答えておいた。


○比企谷小町の計略
 由比ヶ浜の誕生日パーティーを終えたものの、時間が残っていたので、一行はゲーセンへ向った。
 そこには平塚先生もいて、小町は八幡の嫁候補として平塚先生も遊びに誘う。
 メダルゲームに熱中した一行は、最後に千葉県に関するクイズゲームで締めることにする。男女チーム対抗戦として、敗者は勝者の言うことを一つ聞くことになる。
 男子は八幡の千葉愛によってポイントをどんどん稼いでいくが、最後の最後で、ゴールデンハンマーを使われて、男子チームは負けてしまう。
 勝者の権利として、小町の入れ知恵によって、由比ヶ浜が八幡を今度デートに誘おうとするのだが、それをこのメンツで再び遊びに行くことだと勘違いした戸塚によって、由比ヶ浜のお願いはお流れとなる。
 

○思いのほか、比企谷八幡の勉強方法はまちがっていない。
 千葉県横断お悩み相談メールに、材木座と川崎からメールが届く。材木座にはいつもどおりに、川崎には由比ヶ浜がそれらしくお答えした。


○未だ、彼らは帰るべき場所を知らない。
 ある日の奉仕部に、柔道部の城山から依頼が舞い込む。卒業生である先輩が最近シゴキにやってきて退部者が続出したため、新部員獲得の相談に来たのだ。
 とりあえず柔道部の様子を見に行った3人だったが、その先輩がいる限り、部員が増えても止めてしまうだろうと判断。そもそも、夏休み前の時期に部員が入るはずもないだろうということとなる。
 そこで、根本原因である先輩を追い出すために、柔道大会を企画する。
 八幡は観客を増やすために葉山を、葉山の提案で材木座をチームに迎えて大会に参加した。
 決勝戦は八幡チームと柔道部チームの対決となった。
 だが、材木座はあっさり負けてしまい、頼みの綱の葉山も、サッカー部の1年生マネージャーである、ふんわりほわほわ系美少女の一色いろはが葉山を呼びに来た。そんないろはが癪に障った三浦によって修羅場が出来上がり、葉山は退場してしまった。
 その代わりとして、雪ノ下が出場することとなり、指一本触れられることなく勝利してしまう。
 そして大将戦に、八幡は先輩を誘い出し、先輩が大学の柔道部から逃げ出してきたことを、観衆に聞こえるくらいの声で詰った。
 試合自体には負けてしまったが、逃げ出したことが知れ渡ったと思った先輩が柔道部に来ることはなくなった。ただ、八幡のせいで柔道部の空気は悪くなり、八幡は柔道部と関わることを禁止されることとなった。


○それでも比企谷八幡のポジティブシンキングは歪みきっている。
 千葉県横断の悩み相談メールに、材木座と小町から相談が寄せられる。材木座には適当に、小町にも適当に返事を出した。


【感想】
 短編集第2弾となった今回、夏休み前の話が大半を占めていました。アニメで先行公開された千葉県横断お悩み相談メールに関するSSで閑話休題しながらの流れは、短編集らしくて面白かったです。
 コミケ限定ドラマCDの内容だった小町の計略も小説として収録されているところが、救済的で素晴らしいですね。ドラマCD自体もとても面白かったので、まだ聞いていない方は一聴の価値ありです。入手できるかどうかは怪しいですが・・・。
 今回の読みどころと見どころは、何と言っても平塚先生の嫁度の高さ!(ウエディングドレス姿のみ・・・)口絵のぶち抜き使用の平塚先生の御姿があまりに神々しすぎる!そしてそんな平塚先生を描くぽんかん⑧さんが神すぎる!俺が2次元の世界にいたら婿養子になるのに!
 柔道部の話に関しては、平常運転の八幡でした。ですが、雪乃と結衣の温かさに、すこしだけほだされる八幡が、なんだかんだで青春していてなんだか悔しい。
 そして安定の材木座のあしらい方は笑えます。
 表紙が三浦だったことは軽く驚きましたが、修学旅行編で蛯名さんが台頭してきたこともあって、三浦の進出も納得ですね。
 そしてなにより新キャラ一色いろはの存在感。萌え豚の理想そのもののような口調、雰囲気、イラストは公開されてないですがおそらくドストライクであろう彼女が、この先登場するのか楽しみです。
 
 



戸塚の嫁度が平塚先生以上の場合、今作の真のヒロインが決まる
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  1. 2013/08/24(土) 22:17:27|
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とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫) 感想

とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)とある飛空士への恋歌 5 (ガガガ文庫)
(2011/01/18)
犬村 小六

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悲喜交々のラブロマンスが描かれる、お話


【簡略ネタバレストーリー】
 ニナ引き渡しの交渉に臨むべく、アメリアを乗せた艦艇は、空族の巡空艦に先導されて敵地へ赴いた。
 その頃、学生寮では寮生たちがクレア引き渡しの件について落胆し、自分たちの無力さに歯がみしていた。
 空族の空飛ぶ島、空中都市プレアデスに着陸すると、そこの要塞司令官であるバシレウス・アウデイカスに連れられて、迎賓館へ通された。空族は、自分たちと同等の文化を有していることが窺えた。
 迎賓館では外務尚書省次官ゼノン・カヴァディスという男が待っていた。改めて、ゼノンからニナの身柄引き渡しを要求されたが、アメリアはそれを拒否した。交換条件として恒久平和を要求したが、同席していたバシレウスが逆上した。その時、空族は王政で成り立っていることを知らされる。
 その頃イスラにいるカルエルは寮のブランコでアリエルに、クレアに会えないかどうか相談していた。アリエルはイグナシオに頼んでみるといいと言うが、カルエルはどうにも信じられなかった。話は変わり、アリエルはカルエルがクレアのことを本当に好きなのかを訊きだした。その直後に、アリエルの様子が少し変わったことをカルエルは察したのだが、それがどういう心の現れだったのかには気付かなかった。
 アメリアは舞踏会に紛れてロビー活動を行っていた。相手はゼノンだ。ゼノンが言うには、主戦派を押さえて交渉に臨んでいるため、交渉を長引かせたくはないという。そこでアメリアは、次期王位継承者と引き換えに、ニナの引き渡しに応じると伝えた。ゼノンの判断では応じることはできないので、王からの返事を待つこととなる。ちなみに、ゼノンはアメリアを下段の民と称していた。
 アリエルとカルエルは、イグナシオに会うべく、クレアが匿われているスイス邸の周りでイグナシオを探していた。何日か潜伏していると、イグナシオが現れた。二人はイグナシオに懇願するのだが、イグナシオははっきりとした返事をしないまま帰ってしまった。
 アメリアとゼノンはその後も会談を続け、空族の王位継承権第2位であり、俊才でありながら妾腹の子であるマニウス・シードゥスを差し出すことを提案され、それを承諾した。さらに、これ以降空族領域で攻撃されない航過権も勝ち取った。
 寮生たちは休校のために暇を持て余していた。アリエルは整備科へ、ナナコは普通科への転科が決まっており、ソニアは軍法会議にかけられていた。そんな中、イグナシオが寮へやってきた。シャロンたちはイグナシオを歓待したのだが、彼はどう対応したものかと困惑していた。歓待を受けながら、イグナシオはカルエルにクレアの出立の日付を知らせ、出発前の30分を確保したことを伝えた。当然、寮生たちはイグナシオに感謝し、彼はぶっきらぼうに応えるのであった。
 クレア出立の日、マニウスがイスラにやってきた時には、イグナシオの手引きでカルエルとアリエルはクレアの部屋へ通された。時間を無駄にしないため、二人は順番にクレアと対話する。アリエルはクレアとの別れを惜しみ、思い出を語り、再開を約束すると、部屋を後にした。
 次いでカルエルは、寮生たちからの手紙を手渡すと、言葉が出て来なくなった。だからただ抱きしめ、キスを交わした。そして言ってはいけないが、逃避行をしようと提案してしまった。クレアは笑って賛成してくれたが、カルエルからそっと離れた。そして、自分の祈りを込めたペンダントを渡し、どうしても私のことが心配になったら呼びかけて欲しい、と伝えると、ウルシラ伯夫人に連れられて行った。
 カルエルはただ呆然としていたが、窓からクレアが飛空艦艇に乗り込もうとするところを見て、すぐさまクレアを追った。周りは送迎の観衆と近衛兵たちが大挙しており、クレアに近づくカルエルを捕らえようとした。
 だが、カルエルは自らの身分を明かして、近衛兵たちを遠ざけた。イグナシオもそれを助長させる。
 そしてカルエルはクレアに誓いを立てた。かならず君を奪い返して見せる、と。
 だからクレアは、待ってると、笑って応えた。
 イグナシオは近衛兵としてクレアについていくことになっていた。だからカルエルに約束した。クレアには誰も近づかせないと。イグナシオはカルエルを憎んでいた。だが、母親の言葉から憎しみの空しさを感じ取り、また寮生たちからの温もりを感じたことで、復讐心はいつしか消えていた。
 その後、イスラは聖泉を抜け、寮生たちは亡き友人たちに哀悼の祈りを捧げた。そして聖歴1861年5月、レヴァーム皇国へ到着した。
 その間に、カルエルとノリアキとチハルは操縦士に、シャロンは通信使、ベンジャミンは偵察員としての道を歩むこととなった。
 皇都エスメラルダでは、歓迎式典が盛大に行われ、その2カ月後にはレヴァームとイスラ合同で空の果てを目指すこととなった。
 その間、カルエルたちはバンデラスの下で飛空訓練を受け、寮に帰るとアリエルの手料理が待っている生活を送った。だが、クレアのことを思わない日はなかった。
 ある日、カルエルはスイスに呼び出され、皇家に関わりのあった人たちの証言からカルエルがカール・ラ・イールであることが認められた。そしてカルエルは、その名を使ってニナを奪い返すことを計画する。
 その後、大瀑布を越えて帝政天ツ上も越えて、空の果てを目指した。その道中で、イスラは微力ながら速度を増していた。
 その原因を、俊才皇子マニウスに窺おうとするルイスであったが、マニウスは教えてくれず、自分を満足させたら教えてやるといいだした。だが、どんな娯楽も彼を唸らすことはできなかった。そこで、アメリアの提案でアリーメンを食べさせたところ、鷹揚な態度で世界の秘密を語り始めた。
 まずは、いつか語られなかったルイスの推測が語られた。世界は半球状の面の上に、3層の海が連なっており、最上部の小さな層に聖泉があり、その下の層との境目が大瀑布なのだとする天動説を唱えた。それはほぼ正解だった。マニウスが指摘したのは、世界の外延部分に壁を設けたことだ。この壁こそが空の果てであり、創世神話でいう物質の終わるところだった。つまり、このまま行けばイスラは消滅する。イスラは創世神話の通りに世界へ還るために加速していたのだ。
 その頃、カルエルが湖で走り込みをしていると、海猫らしき人物と出会った。彼から多くの技術の説明を受け、さらにはクレアへの悩みの相談にも乗ってもらった。海猫は、まるで自分のことのように話を聞いてくれた。
 聖歴1862年3月。空の果てを観測した。それはまるでオーロラのように空を漂っていた。イスラの大半の住民たちはレヴァームの輸送船団に避難し、寮生たちは亡き友人たちとの約束のためにイスラに残り、エル・アルコンに乗り込んで空の果てを撮影することとなった。
 チハルはイスラが無くなる前に、ミツオの墓へ飛空士になったことを報告した。
 そしてイスラが空の果てに呑みこまれる日、カルエルは後席にアリエルをのせて飛び立った。そこにいると、まるで亡くなった友人たちといっしょに空を飛んでいる気持ちにさせてくれる。そして苦楽を過ごしたイスラに別れを告げて、友人たちとの約束だった空で、お祝いの踊りを舞うのだった。
 その7カ月後、レヴァーム皇国へ帰りつくと、交流を目的としたマルコス・ゲロル中将たちを乗せて、バレステロス共和国を目指し、聖歴1863年9月、聖泉での争いから3年後に聖泉の横を航過して、バレステロスの小型艦艇と接触し、イスラ計画成功の報が届けられた。その途中で、カルエルは寮生たちに自分の身分を明かしたが、特に驚かれることはなかった。
 そしてカルエルは、市民の政治への不満を抑えるために、共和制を支持する演説をしてほしいと頼まれる。代わりに、彼も自分の頼みを市民に告げることにした。
 首都アレクサンドラでは盛大な凱旋式典が執り行われた。カルエルとアリエルの家族であるミハエルやノエル、マヌエルたちも招待された。聴衆たちはカール・ラ・イール存命のことは知っていたが、ニナのことについては一切知らされていなかった。
 そんな中で、ルイスによる演説と報告から式典は幕を開けた。そしていよいよカルエルの出番が近づいていた。カルエルは緊張しながら演説原稿を必死で読み直していたが、それをアリエルが遮った。彼女によって励まされながら、カルエルは壇上へ上った。
 カルエルは頼まれていた通り、簡潔に共和制を指示した後、ニナが空族に捕らえられたことと、そんなニナを自分は大切に想い、彼女を奪い返そうとしていることを告げ、そのための協力を求めた。
 観衆は歴史的なラブロマンスを感じ取って湧きあがり、それに応えるように、カルエルもクレアへの愛を宣言した。この放送はベナレスや斉ノ国にもラジオ放送されている。
 カルエルの後を継いで、ルイスがラジオを聞いているであろう権力者に向けた資金援助のアピールを始めた。カルエルが舞台裏へ戻ると、アリエルや寮生たちに誉めそやされた。そして、カルエル、アリエル、シャロン、ナナコ、ノリアキ、ベンジャミンたちは最後に集合写真を撮ることにした。タイミング良く、バンデラスとソニア、寮長も通りがかり、三人にこれまでの感謝を告げて、全員で何枚も写真を撮った。
 直後、ノリアキとナナコの家族が現れ、一同は別れを告げてそれぞれの家族の元を目指した。
 カルエルとアリエルはほどなくしてミハエルたちと合流し、再開を喜びあった。
 翌日から、新聞や巷ではカルエルとクレアの話で持ちきりだった。
 凱旋式から三週間後、ベナレスに戻り、少尉となったベンジャミンとシャロンはウォルフガングの実家へ報告に行った帰り道を辿っていた。ベンジャミンは将来の将校候補となり、シャロンは遠く離れた基地へ赴くことが決まっていた。ベンジャミンはシャロンを引きとめようとするのだが、シャロンはベンジャミンの失くした右腕になれるような実力をつけて、帰ってくることを約束した。
 斎ノ国のミツオの実家は、ミツオの訃報を知らされてから沈鬱な日々を送っていた。そこへ、チハルがミツオの勲章を持って現れた。涙ながらにミツオの生きた日々を伝えにきたチハルを、ミツオの両親は温かく迎え入れた。
 斉ノ国の空軍に配属されたノリアキは、日々の愚痴をナナコに語っていた。ナナコは小説家の道を目指している最中だ。ノリアキの提案でイスラの冒険譚を書いてみてはどうかと勧められてが、実力をつけてもう少し時が経ってから書くことにすると、ナナコは答えた。
 そしてアルバス家では、19歳になって帰って来た二人と、新たな家族である姉二人の旦那と子どもたちを含めて団らんを楽しんでいた。
 翌朝、カルエルはミハエルを連れて飛空場を訪れ、支給された飛空機にミハエルをのせて空へ昇った。これは少年時代に飛行体験をさせてくれたミハエルへのお返しだった。高高度飛行やアクロバティック飛行などで父を楽しませた後、カルエルはクレアを取り戻しに行くために、再び家を去ることを告げた。ミハエルは、カルエルの成長を喜んで、送り出すことにした。
 そして出立の日、カルエルは姉たちと父に別れと再開を約束し、アリエルと向き合った。カルエルはいつだって傍にいてくれた妹へ、何か大事なことを告げようとした。だが、それはアリエルによって口封じされ、いつものように喧嘩別れしそうになる。だけどカルエルは何かを言いたそうにしている。だからアリエルは、涙声になりながらもカルエルを叱咤し、送り出す。カルエルは、必ずクレアを連れて戻ってくることを約束し、旅だった。
 アリエルはカルエルが飛び立った後も飛空場に残った。一人になって、ようやく彼女は泣けた。初恋の王子様を見送りながら、心の中で、届かぬ恋の歌を歌った。
 アリエルはその後、父の後を継ぎ、工場を切り盛りして飛空機製造業の大企業へと成長させる。
 聖歴1864年7月。カルエルはレヴァーム皇国と3国合同の大艦隊を引き連れて、聖泉を目指していた。カルエルは最新鋭単座戦空機マエストラに乗り込み、大艦隊を見下ろしていた。そしてふと、クレアに貰ったペンダントを思い出し、祈りを込めた。
 すると、風がマエストラを上方へ運び、クレアの声と思わせる風の音が聞こえた。そしてクレアが今でもカルエルを待っていることを知り、今すぐにでも彼女を迎えに行くことを伝えた。
 後数十年を経て出版されたのであろうナナコの著書「空の果てのイスラ」の結びは、イスラが彼女たちに教えてくれたものは、いつまでも心の中に留まり、くじけそうな時はイスラが支えてくれていたのだと語られていた。



【感想】
 やっぱり泣かされた。
 クレアとの別れから始まり、クレア奪還を確信した出発で終わる。二人の行く末が明確に描かれていないながらも、ハッピーエンドを想像せずにはいられない終わり方が、とても素敵だ。
 クレアとの別れのシーンではどうしても涙ぐんでしまった。あのシーンだけでも、クレアとカルエルの成長が顕著に現れていて、なおかつ二人の変わることのないであろう絆がしっかりと描かれていたように思える。直後のイグナシオの内心については、ツンデレ乙!としか言えない。
 カルエルの演説で、壮大なラブロマンスが勢い付いたところなんかは興奮しましたね。
 他の寮生たちも、前途は洋々とまではいかないながらも、それぞれの道を歩んで行けている所が、地味に好きです。チハルのシーンはすべて泣かされました。それだけ3巻の衝撃が焼き付いています。
 ですが、いいことばかりじゃありませんね。アリエルは自分の想いを塞ぎこんでまで、カルエルを送りだしました。もし彼女がカルエルと家族として会っていなかったら、でも家族だったからこそカルエルに出会えた、そういうジレンマがアリエルの恋心から伝わってくるようでした。もしかしたら、カルエルもそんな気持ちを抱えていたのかもしれません。歌えない恋の歌もある、って言葉、気に入ってます。
 5冊という丁度いい尺で物語が完結しており、さらに1冊1冊が大変面白い、最高の貴種流離譚でした。
 続く、夜想曲、誓約も大変面白く素敵な内容なのだろうなーと妄想せずにはいられません。次なる飛空士たちの物語も楽しませてもらえそうです。
 




クレアとカルエルには幸せになってもらいたいものですね


  1. 2013/03/29(金) 19:43:30|
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やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7 ドラマCD付き限定特装版 (ガガガ文庫) 感想

やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7 ドラマCD付き限定特装版 (ガガガ文庫)やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。7 ドラマCD付き限定特装版 (ガガガ文庫)
(2013/03/19)
渡 航

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今を基準で考えると未来は良くも悪くも映るのでなかなか一歩を踏み出せない、お話


【簡略ネタバレストーリー】
 文化祭も終わると、クラス内での八幡いびりが進行していた。それは相模に言った暴言じみた言葉が原因だったのだが、ぼっち慣れしている八幡はさほど気にしていなかった。それに、由比ヶ浜や戸塚は話しかけてくれていた。
 とはいえ、八幡いびりも次第に風化していった。修学旅行が近づいているため、八幡のことなどすっかり眼中になくなったのだ。八幡は戸塚と同じ班になることになる。一方で、葉山たちのリア充グループを見ると、なにやら葉山と海老名がひそひそ話をして、葉山が眉をしかめているところを目撃する。
 奉仕部でも修学旅行の話題が上がり、雪ノ下がクラスでお姉さま的存在であることや、行き先の京都の話、3日目の自由行動は3人で過ごすことなどを話し合っていた。
 するとそこに葉山、水戸、大和、戸部といったリア充グループが依頼にやって来た。依頼内容は、戸部が修学旅行で海老名に告白するからそれのフォローをお願いしたい、というものだった。
 だが、戸部が八幡がいると話したくないというものだから、雪ノ下が静かにお引き取り願うと、戸部は渋々話し出した。
 八幡と雪ノ下、そしてなぜか葉山まで消極的だったのだが、由比ヶ浜が女子高生らしくコイバナに乗ってしまう。葉山たちは部活で教室を出ていくと、3人は戸部のアピールポイントを探してみたのだが、見つからない。
 だが、とりあえず修学旅行中はいっしょに移動させようとして、二日目の4人一組のグループ行動の時、八幡を戸部の班に入れ、そこに由比ヶ浜たちの班と行動を共にする計画がなされる。
 班決めの際に、海老名は自分のグループに川崎を誘った。キャラがかぶっているせいか、川崎は三浦と一触即発のムードとなっていた。
 再び、奉仕部では旅行計画を練っていると、海老名が依頼にやってきた。彼女が言うには最近戸部が葉山や八幡とつるんでいて、大和と水戸がないがしろにされていて、それがカップリング的に好ましくないので、3人みんな仲良くさせて欲しいという旨を伝えて帰って行った。
 出発日、八幡は小町にお土産表を手渡され、家を出た。ついでに、受験生である小町のお守りも買おうと思っていた。
 電車に乗ると川崎と出くわしたのだが、特に会話もなかった。集合場所にいくと材木座に捕まったり、戸塚と合流したりした。
 新幹線では海老名がリア充グループ+川崎で席を固めていたので、八幡は戸塚といっしょに空いている席に座ったのだが、八幡はすぐに寝てしまった。起きると、隣に由比ヶ浜がいて、同じく寝入っていた戸塚の寝顔を見逃したり、由比ヶ浜のボディタッチにドギマギしていた。
 1日目のクラス行動では清水寺へ行き、戸部と海老名をペアにして清水寺拝観口脇の胎内めぐりで距離を縮めたりした。
 清水寺の舞台へ上ると、八幡は積極的な由比ヶ浜といっしょに自撮りでツーショット写真を撮ったりした。ついでに、クラスの写真係みたいなこともさせられた。
 自主神社では、八幡によるさりげないアシストで、戸部と海老名の距離をまた縮めることができた。
 音羽の滝では、平塚先生が恋愛成就の滝で一升瓶に注いでいたところを注意され、八幡には彼女が早く嫁に行けるように祈るしかなかった。
 宿に行くと、八幡はすぐに寝入ってしまったため、内風呂ですました。同室の葉山たちは麻雀に興じ、八幡と戸塚とやってきていた材木座はウノに興じた。そして戸部と八幡が罰ゲームでジュースを買いに行くと、軽薄な戸部にしては真面目に、八幡へと今回のお礼を述べたのだった。
 そして八幡がMAXコーヒーがないことに愕然としていると、自販機近くのお土産屋で京都限定パンさんを買おうとしているところを目撃する。目撃された雪ノ下は、さもただぶらついていただけという体を装って八幡に話しかけてきた。
 八幡が小町の合格祈願の話をしていると、平塚先生がやってきた。彼女はお忍びでラーメンを食べに行こうとしていたのだ。そこで、二人に口止め料としてそのラーメンを食べさせに行く。
 場所は天下一品の総本店だ。特長であるこってりラーメンを注文する先生と八幡だったが、雪ノ下は食指が動かなかった。(おいしいのに…)
 平塚先生は、ここで雪ノ下に教師らしいことを告げると、コンビニへ酒を買いに行った。二人は先に旅館へ戻ることになり、まるでデートの帰り道のような雰囲気にドキドキする二人であった。ちなみに罰ゲームは忘れていた。
 2日目のグループ行動では、太秦の映画村へ行き、そこのお化け屋敷に入った。戸部と海老名の中はそれほど進展しなかったが、戸塚が楽しんでいたり、川崎と由比ヶ浜はビビりまくっていたりと、八幡のグループは楽しんでいた。
 映画村の次は仁和寺へ向かった。そこで八幡たちは雪ノ下と出くわす。枯山水の趣深さを感じながら、二人は雪ノ下に経過報告をする。その後、金閣寺を巡り、二日目の宿へ向かった。
 夜中、八幡はコンビニへ雑誌を読みに行くと、そこで三浦と出くわした。三浦は八幡たちが海老名にちょっかいを出していることを察していた。そして、海老名が異性交流にまったくといっていいほど関心がない事と、自分たちの輪を見ださないように注意してくる。
 3日目。朝から奉仕部で喫茶店に集まり、伏見稲荷大社の千本鳥居と、合格祈願のために北野天満宮へ行くことになる。
 すると、千本鳥居で葉山たちのグループと出くわした。そこで八幡は海老名に依頼のことを念押しされる。
 その後、北野天満宮によって、嵐山へ繰り出した。その途中で、3人は食べ歩きを楽しんでいもいた。そして嵐山の参道にある、夜中にはライトアップされる竹林を、戸部の告白場所に選んだ。
 夜中、葉山は夜風に当たっていた。八幡は葉山を追って、善人である彼がなぜ今回にかぎって戸部という友人の手伝いをしないのかと問うた。葉山は、今の楽しい時間、関係が好きだから、それが変わるような出来事を嫌っているという。それは初めてみる葉山のエゴだった。だからだろうか、ひねくれた八幡は、そんな葉山のわがままに付き合うことにした。葉山は八幡に頼ってしまうことを悔いた。
 その後、奉仕部と三浦を除いたリア充グループで竹林へやってきた。しかし、八幡や雪ノ下たちには戸部がふられることをほぼ確信していた。それでも、呼び出しに応じて海老名はやってきた。戸部も、緊張しながら海老名へ告白しようとした。
 その時。
 いきなり八幡が海老名へ告白したのだ。海老名は八幡の意図を察し、今は誰とも付き合うつもりはない、といって振った。
 戸部は告白できなかったことを悔しがり、同時に振られなかったことに安堵した。これによって、葉山たちのグループは変化なく日々を過ごしていくだろう。葉山には、八幡に謝ることしかできなかった。
 葉山たちはそのまま帰っていき、残された八幡に注がれたのは、雪ノ下と由比ヶ浜の落胆に満ちた視線だった。
 雪ノ下は八幡のやり方を嫌悪して、一人で帰ってしまった。
 由比ヶ浜はわざと明るく振る舞おうとしたのだが、やはり八幡の行動を嫌い、もうそんなことをしないように、八幡に頼むことしかできなかった。
 最終日。帰りの新幹線に乗る前に、八幡は海老名と落ち合っていた。今回、海老名の依頼を達成できたかというと怪しいが、葉山の願いと同じ意味を持つ、海老名の本当の目的は達成されていた。海老名は冗談めかして、八幡となら付き合えるかもしれないと言いだした。だが、八幡はちゃんと受け流す。
 彼女は腐女子を公言して、周りを自分に巻き込むことで、今の場所を獲得している。そして今の場所を気に入っている。だけど、その場所をくれた人たちの思いを今回は貶してしまった。だから彼女は自分が嫌いなのだ。
 葉山も海老名も、大事な場所を守るために嘘をついていた。そしてそれは八幡も同じだ。過去の失敗も手伝っているのだろうが、彼が一歩踏み出さないのは、今が気に入っているからなのかもしれない。 


○ドラマCD
 文化祭直後の話。後夜祭を欠席した八幡は、由比ヶ浜の誘いに応じた小町や平塚先生に戸塚に材木座に雪ノ下という面子といっしょに打ち上げを行った。店の手配は陽乃が引き受け、やんややんやと楽しんだ。
 店を出ると、陽乃の手配で撤去されていなかったライブハウスにて、文化祭の時の彼女たちによる演奏が行われるのだった。


【感想】
 はい、今回も八幡さんの自虐解決によって、葉山と海老名を始めとしたリア充グループの平穏が守られましたとさ。めでたし、めでた…くねぇ!
 文化祭の時は八幡に助けられてデレた雪乃でしたが、八幡のやり方自体は嫌い、どうしてもそんな解決しかできない八幡を軽蔑した感じで終わってしまいました。
 結衣についても、そんな八幡に嫌悪感を丸出しにしないまでも、彼のやり方を拒絶していました。
 たしかに、現実に第3者視点から見て後味の悪い解決をされたら、そりゃ一言こと行ってやりたくもなりますよ。
 とまあ、最後は少し気分が落ち込むような終わり方でしたが、修学旅行編、面白かったですね。相変わらずの戸塚の可憐で心を解きほぐされるような小動物チックさが実にキュート。材木座も安定のウザさ加減が楽しめます。川崎さんはブラコンシーンや怖がっているシーンなど、登場回数は少ないまでも、存分にギャップ萌えを披露してくれました。そして、平塚先生はまたしてもカッチョイイ先生でありましたな。
 結衣も計画練るあたりから旅道中まで、八幡に猛アタックをしかけていて、八幡さんはやく応えてあげて!と思わずにいられませんでした。
 雪乃は雪乃で、文化祭で好感度を上げた八幡に対して、これまでのいじりにも似た辛辣な態度を軟化させて、それどころか戸部の暴言から八幡を養護したり、小町のお守りを買いたいという八幡の要望に応えたりと、雪解けした春のような優しい態度をとっていました。それだけに、最後の彼女の言葉が悲しいですね。 
 また、リア充グループでも、みんななにかしらの思惑があり、それが変に絡みながらも、見栄えは良く映っていることが、なんだか少し気味悪かった。でも、葉山や海老名の言い分もわからなくはない。ただ、八幡が達観しきっているだけなんだろうなーと思いました。
 さてさて、夏祭り辺りから気付き始めた八幡自身の心の内に、いつ向き合うことになるのでしょうか。似たような心境にある『僕は友達が少ない』の小鷹ともども、ぬるま湯から出ようとする彼らの行動を楽しみにしております。




修学旅行はどこへ行くのかが重要なんじゃない、誰(男女問わず)と行くのかが重要なんだ!



  1. 2013/03/25(月) 01:50:59|
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とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫) 感想

とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)とある飛空士への恋歌 4 (ガガガ文庫)
(2010/08/18)
犬村 小六

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戦場が二人を繋ぐ、お話


【簡略ネタバレストーリー】
 空族との戦を終えて、合同葬儀が行われた。防空壕に隠れていたクレアは、そこで初めて同級生たちの死を知る。
 その日の夕食で、クレアはルイスにイスラの針路を不動星からずらすことを知らされる。このまま進めばレヴァームと合流できるかもしれないが、空族に自分たちの針路がばれているため、待ち伏せを回避しなければならないという結論に至った。
 センテジュアル組は、戦死した級友のために墓標を作っていた。作業が終わると、チハルが泣き出し、アリエルたちが彼女を慰める。それでも泣き続けていたチハルは、ふとミツオの言葉を思い出し、泣きやんだ。
 と、そんな時に空族からの空襲がくる。その空襲はさして被害をこうむらなかったが、住民の不満が募り、反転するべきだという声が強まった。
 空週明けの夜中。カルエルは自分の不甲斐なさを恥じ、湖の周りを走り込んでいた。すると、クレアを見つけた。
 しかし、クレアは逃げ出そうとしたり、一人だけ隠れていた自分をひきょう者呼ばわりしたりした。でもカルエルはそんなクレアを慰め、勢いでキスをして、告白までした。さらにカルエルはクレアなら自分の出生を話してもいいと思い、打ち明けようとする。
 だが、先んじたのはクレアの方だった。彼女はカルエルに自分がニナであることをほのめかし、だけど決定的な事は言えずに、自分もカルエルのことが好きだから、もう会わないようにしようと告げる。
 カルエルにはそのことが良くわからなかった。そこへ、再び小規模な空族からの空襲が起こる。その時、火の手と月光に彩られたクレアの髪と瞳が、カルエルにニナを連想させ、クレアがニナなのだと気付いた。クレアはそのまま駆け出し、カルエルはあまりのショックで頭をかきむしり、絶叫した。
 それからカルエルは部屋に引きこもるようになった。気丈なシャロンはカルエルの心配を続けていたが、飛空科の生徒たちも級友の死によって陰鬱な気持ちを抱えていた。そこで、チハルと寮長がもちつきを行うことにした。
 呼びかけに答えたのはシャロンとナナコとノリユキとベンジャミンだけだ。それにみんな食欲がない様子だった。そこへ、少し早目の退院をしたアリエルが帰って来た。シャロンはアリエルにカルエルの現状を伝えた。アリエルはカルエルをそっとしておくことに決め、寮生たちを引き連れて商店街の復旧の手伝いをしに行くことにした。
 商店街の手伝いをしていると、儀仗兵や近衛兵を連れてニナが訪れた。今回の彼女の役目は、その求心力をもって反転派の心変りを起こさせることにあった。そんな彼女の演説を見ていたアリエルは、一目でニナがクレアだと気付いた。そして、カルエルの不調とクレアの正体が線で繋がった。帰ろうとするクレアに近づこうとするのだが、それを防いだのは実は近衛兵であるイグナシオだ。(寮にいたのはクレアの護衛のため)アリエルが懇願すると、イグナシオは一芝居打って彼女をクレアに近づけた。そして、フォローは任せて欲しいということと、真相を知ろうと友達であることを伝えた。
 アリエルはすぐさま寮に戻ると、カルエルに語りかけた。負傷したことは気にしてないし、飛空科から整備科に転科することになったが、そのほうが性に合っていることや、父親の記憶など。だけどカルエルは呆然としたまま聞いていた。
 すると、イグナシオがやってきて、カルエルを無理やり引きずり出して湖へ向かった。そこでイグナシオは、自分がカルエルの異母兄弟であり、皇王の弱味を失くすために捨てられた過去や、右手に傷を作って憎しみを忘れないようにしていたことを語る。さらにアリエルが飛空科を止めたことを突き付けられて、再び落ち込んだ。そんな腐抜けたカルエルを見て興醒めしたイグナシオは、帰って行った。 
 そんな時に、空襲のサイレンが鳴り響き、空族の大型戦艦がいた。カルエルはなぜか木に括られていた馬を手繰って飛空場を目指す。
 飛空場には飛空科の生徒たちが集められていた。誰もが飛空機に乗りたがらず、さらにソニアが軍を辞めてまで生徒を逃がそうとした。ほとんどの生徒が逃げる中で、ノリアキとベンジャミン、カルエルだけが残った。
 ノリアキはナナコと、ベンジャミンは幼馴染のシャロンと、カルエルはアリエルと生き残ることを約束した。
 3人がエル・アルコンに近づくと、そこにはイグナシオがいた。どうせ死ぬのだから、カルエルの死に顔を拝むためだといって、カルエル機の後席に乗り込んだ。
 彼らは観測機の直掩機として出撃していた。イグナシオは抜群の射撃技術で敵機を次々と撃ち落としていった。逆に、ノリアキは凡人らしい逃走本能をむき出しにして、敵機を惹きつけながら逃げ続けていた。しかし、その最中に観測機が撃ち落とされてしまった。
 観測機がいなければ、ルナ・バルコの砲撃が敵に命中したかどうかや、命中させるための敵の位置情報を知ることができない。そこで、ベンジャミンが観測機の代行をしようとする。ベンジャミンの情報は、始めはレオポルド団長たちに受け入れられなかったが、レオポルドと同席していたクレアの懇願とベンジャミンの情報の正確さを買って、ノリアキ機を観測機代行と認めた。
 現状では、敵戦艦は煙幕によって見えない状態になっていた。だから、ノリアキたちは煙幕を越えて敵戦艦に近づきながら情報を送り続け、逃げ続けた。
 だが、いつまでも逃げ続けられるものではない。ノリアキは気を失い、ベンジャミンは右手が吹き飛んだ。死を覚悟したベンジャミンだったが、シャロンの餞別であるスカーフが目に留まり、生き残る気力が湧いてきた。カルエルたちからの援護もあり、ルナの砲撃が敵戦艦の火薬庫に的中し、撃沈した瞬間を目撃した。だがそこまでだった。
 爆風に巻き込まれたノリアキ機は崩壊し、二人は落下傘でゆっくりと聖泉へ落ちて行った。二人を助けたかったカルエルだが、イグナシオにたしなめられて二人を助けることはできなかった。
 そんなカルエルに、アリエルが負傷した時のような神がかった操縦と、戦場を俯瞰したかのような空間把握能力が舞い降り、ルナ・バルコの直掩に回った。
 一方、これまでの対艦砲でそれなりの被害を受けていたルナ・バルコに、聖泉から空雷艇が襲いかかる。さらには急降下爆撃機からの追撃も加わって、もはやなすすべなく沈没するしかなくなった。
 スイスは縋りつくような思い出、クレアのやりたいことをやらせて風呼びの力を取り戻させようとした。クレアは甲板に上ると、カルエルを探した。カルエルはルナ・バルコとニナの最期を予感しながらも、なぜかそのことを喜べなかった。母親の最期の言葉を思い起こした時、カルエルはクレアを見つけた。
 操縦をイグナシオと代わったカルエルはクレアに近づいた。クレアはカルエルから繰り出されるであろう罵詈雑言を受け止めて償うつもりでいた。しかし、カルエルがクレアに託した言葉は、生きろ、だった。
 その一言を残すと、カルエルたちは止めを刺しに来ようとする急降下爆撃機に立ち向かった。そして、クレアはその一言だけですべてを理解し、救われた。だから、彼女は彼の思いに報いるために、風に語りかける。彼を救うための歌を、恋の歌を彼に届けるために。
 風はクレアに応えた。爆撃機は空中で分断され、浮上してくる空雷艇は竜巻に巻き込まれて自爆していった。沈没寸前だったルナ・バルコも風の力でなんとか航行を続けていた。一気に戦況をひっくり返り、呆然とする軍人たちを尻目に、ルイスだけが喜びで打ち震えていた。さらに、竜巻によって雲が吹き飛ばされたことで、レヴァームの飛空戦艦エル・バステルが現れ、援護射撃を撃って来た。
 これによって空族は撤退し、ルナ・バルコはイスラの湖に不時着すると、もう起動不可能となった。
 カルエルは帰還できた喜びと、また死んでしまった級友を思って悲しんでいると、負傷したバンデアラスがエル・アルコンに乗って帰って来た。そこには、気絶したノリアキとベンジャミンの姿もあった。
 後日、入院したノリアキとベンジャミンのもとへ寮生たちがお見舞いにやって来ていた。そこへ、イグナシオがカルエルを呼び出しに来た。ちなみに、寮生たちからはイグナシオはツンデレだと評されている。
 病院の屋上へ行くと、カルエルはイグナシオから信じられない情報を聞かされた。
 空族は脅しを交えて交渉のための書簡を送って来た。レヴァーム人もいたため解読は素早く終わった。曰く、風呼びの力をもったクレアは彼らの創世神話に出てくる巫女であり、彼女を引き渡すのなら、これ以上の追撃早めるという内容だった。そして、上層部はこれに応じるつもりだ。
 つまり、クレアを生贄にするということだ。




【感想】
 泣きかけた。
 今回もハラハラドキドキの空戦が描かれていて、もう読む手が止まりませんでしたね。これまで目立つことのなかったノリアキやベンジャミンガ一念発起して戦場に望み、ミツオにも誇ることのできるほどの誉れと戦果を得ることができました。二人が聖泉に落ちた時は、もうアカンわ、と思っていましたが、今回もダンディ先生がやってくれました!バンデラス先生まじダンディー!ソニアも軍人堅気かと思いきや、生徒のために除隊までしていたところが震えました。
 イグナシオについてはようやく正体が判明しましたね。カルエルを焚きつけるためのキャラという感じでしたが、もうちょっと登場していてもよかったと思いました。カルエルを憎んでいるのにやりすぎることはない。なにこのツンデレ、優しすぎるでしょ。
 それになにより、クレアとカルエルの関係がついにクライマックスを迎えたことが読みどころですよね。序盤に秘密が明かされ、カルエルが壊れるところは予想外でした。てっきり普通に憎むのかと思ってましたが、それだけクレアと過ごした時間や、母親の言葉の影響が強かったんでしょうね。
 クレアはクレアで思い悩んで葛藤して、アリエルやルイスの言葉に救われたりしながら、最後の最後で素直にカルエルと向き合うことができました。その時には、カルエルもクレアをニナとして認め、許すことができていた。だから風を呼ぶ恋歌が歌えたわけですね。
 ですが、ようやくわかりあえたのにすぐさまお別れがやってきます。いやー、王道ですね。この先逃避行になるのか、それとも別れてしまうのか、最終巻が楽しみすぎます。






イグナシオのCVは檜山修之さんで脳内再生余裕でした



  1. 2013/03/22(金) 21:39:50|
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とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫) 感想

とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫)とある飛空士への恋歌 2 (ガガガ文庫)
(2009/07/17)
犬村 小六

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楽しい学園生活の水面下で物語は着実に進んでいく、お話


【簡略ネタバレストーリー】
 クレア・クルス6歳。いつからか意識することもなく、彼女は風を操る力を持っていた。だが、それゆえに周囲からは不気味がられ、魔女と呼ばれて非難されていた。そんな彼女の家庭は貧しく、病弱な弟と疲弊した母親を支えながら、彼女は生きていた。
 そんなある日、彼女たちの元へ徴税人が家賃の回収に来た。しかし彼女たちに家賃は払えず、母親が泣いて懇願するのだ。徴税人は、家賃の代わりに子どもを連れていくことにした。そしてクレアか弟のどちらかを選べと、母親に言い渡す。母親は最後まで徴税人に許しを乞うたが、最終的に選ばれたのはクレアだった。
 クレアは抵抗する気力もなく、徴税人に連れられて行く。街へ出ると、度の様子を見ていた人達に石を投げつけられた。すると、クレアの周囲を、暴風が逆巻いた。気がつくと、クレアの周りは荒んだ街並みがあるだけだった。
 一部始終を覗いていたある神父が、クレアを風を操る神の子のひとりだと言い、アメリアーノ辺境公の元へ連れて行った。
 その3年後、クレアはニナ・ヴィエントと名を改め、風の革命の象徴として、革命に参加していた。カールから睨まれている時も、彼女は何も感じるまいと、心を凍てつかせていた。そのまま、彼女は革命後の処刑に何度も立ち会うことになっていたのだが、いつしか彼女から風を操る力がなくなっていた。すると、処刑の現場がとたんに怖くなり、以降数年間彼女は宮殿の置き人形同然となっていた。
 そんな彼女の元に現れ、彼女を飛空機に乗せて空の楽しみを教えたのが、ルイス・デ・アラルコンだった。
 カドケス高等学校入学式の朝、クレアはルイスと食事をしていた。クレアの保護者は一応ルイスとなっているからだ。そこでルイスは、クレアをイスラの学校に通わせているのは風の力が戻るかもしれないと思ったから、ということや、創世神話にでる聖泉の守り手である『空の一族』『空族』と闘うことになれば、無尽蔵であるクレアの力が必要だからだと、クレアに告げた。
 そのことを聞いても、クレアには普通の生活をさせてくれているルイスへは感謝の気持ちでいっぱいだった。
 一方でカルエルとアリエルは、今日の寮の食事はアリーメン(アリーの作るラーメン)にしようと相談しながら学校を目指していた。カルエルはついついクレアがいないか探してしまう。
 教室へ行くと、アリエルは寮生たちと仲良く会話し、カルエルはクレアのことを考えていた。すると、ホアン・ホドリゴ・バンデラスというダンディな先生が寝坊して登場し、入学式に遅れていることを知らせた。
 放課後、アリエルとカルエルは同じ寮生であるナナコ・ハナサキとシャロン・モルコスを連れて買い出しに出かけた。
 そして寮でアリエルは存分に腕をふるい、斎ノ国の自称ラーメンマニアのノリユキ・カシワバラを始め、ミツオ・フクハラ、ベンジャミン・シェリフ、ヲルフガング・バウマン、チハル・デ・ルシアといった寮生たちを唸らせた。もう一人、イグナシオ・アクシスという男子生徒がいるはずなのだが、彼は食堂に現れなかった。
 特にアリーメンを好んでいたのは、寮長のシズカ・ハゾメだ。少女にしか見えず、ずっと目を閉じている彼女は派遣寮長だといった。さらに、寮の規則は自分たちで決めろと言い残し、彼女は食堂を去った。
 その日の夜は、寮生全員で最低限のルールを決め、あとは宴会をしていた。食堂で全員が雑魚寝する中、カルエルはアリエルを姉たちに見立てて甘えているところを、寮生たちに見つかり、バツが悪い思いをした。
 翌日からは飛空訓練が開始され、現職軍人であるソニア・パレスの指導の元、ヴァン・ヴィール組とセンテジュアル組関係なくペアを組むことになった。
 アリエルはどうせカルエルと組むことになると思っていたが、カルエルは一直線にクレアの元に向かい、自分のところには有象無象の男子達しかよってこなことが、なんだか腹立たしかった。で、結局は適当に選んだノリユキとペアになった。
 クレアもまた、男子達の渦に呑まれていたのだが、カルエルがやってくるとすぐさま彼とペアを組んだ。それが気に食わなかったのは、ファウスト・フィデル・メルセだ。彼の父親はイスラ空挺騎士団団長のレオポルド・メルセだった。カルエルはファウストとケンカになりそうになるが、周囲に止められた。
 飛空訓練が始まると、カルエルはクレアの操縦の上手さに驚いた。クレアはルイスの手配した上等な教官の下ですでに訓練を積んでいたのだ。対するカルエルは、後席で射撃訓練をしていたのだが、学年最低の成績を記録してしまう。一方で、アリエルは見事だった。
 放課後、気落ちするカルエルの元に、クレアがやってきた。その場にアリエルもいたことで、3人はいっしょに買い物に出かけた。
 行く先々で、クレアは未知の楽しみに触れていた。その様子が昔の自分みたいに思えたカルエルは、クレアも辛い過去があるのだと察知した。
 その日の食事は、アルバスカレーというアルバス家特製のカレーだった。クレアも招かれ、その美味に舌鼓を打った。
 そんな中、シャロン、チハル、ナナコとアリエル、クレアの女子グループで、談笑していると、実はこの学校にカール・ラ・イールが紛れ込んでいるという噂があるとナナコが言いだした。アリエルとクレアはそれぞれ盛大なリアクションを取り、アリエルはその噂を強く、クレアは気弱そうに否定した。
 その後、クレアは門限があるため寮を後にしたのだが、その帰り道で、ナナコの噂を思い出し、過去に見た皇子の碧色の瞳と金髪が、誰かに似ていると思い始めた。
 一カ月後、今日も訓練が始まる。カルエルは最近自分の訓練用飛空機の調子がおかしいと思っていた。そこへ、ナナコによる噂を耳にした。どうやらクレアの前で恥をかかせようとしている人達がいるかもしれないらしい。カルエルはファウストの顔を思い浮かべるが、そこまでしないだろうと思いなおす。
 その日、カルエルはファウストと同じ編隊にいた。ところが、ファウストは他の訓練機と共謀してカルエルの飛空を邪魔したのだ。そのせいで、カルエルは大きな雲に突っ込み、反狂乱状態になりながらも、クレアの肝の据わった補助を受けて、雲を突破した。
 しかしそこに編隊はおらず、二人は遭難してしまった。ソニアの言いつけで、二人は海上におりて救難信号を発信し、救助を待つことにした。それから二人は、大雨の中を飛空機内で過ごしたり、魚を釣り上げて食事をしたり、二人とも海に落っこちて下着姿で毛布をかぶったりした。
 カルエルはクレアを不安にさせまいと、奮闘するのだが、それらは空回りに終わってしまう。だが、カルエルがふとゴムボートに寝そべって夜空を見上げると、満点の星空が迎えてくれた。クレアもその光景に感嘆した。
 すると、カルエルは姉の自慢から始まり、自らの出生をぼかしながらも、クレアに自分の境遇を語った。対するクレアも、同じように語って見せた。カルエルはその内に眠ってしまったのだが、クレアは眠れなかった。ナナコの噂と、カルエルの過去を統合すると、カルエルが皇子てはないかと半ば確信してしまった。だが、カルエルという初めての友人を失くしたくない彼女は、涙ながらにカルエルに寄り添いながら、自分の勘が外れていることを祈りながら、眠って行った。 
 翌朝、救助に来た戦空機の先導で、二人はイスラに帰って来た。カルエルはクレアに諌められたことで、アリエルに優しく接しようと思っていたのだが、泣きはらした顔のアリエルにみぞおちを思い切り殴られてしまい、そんな気も失せそうになった。しかし、アリエルは昨夜一睡もせず指揮所でカルエルを待ち、さらには単身でカルエルを探しに行こうとしていたという話を、シャロンたち聞かされ、思いなおすのであった。
 その一週間後、カドケス高等学校の懇親会として、寮の中庭でアリーメンを大量生産するアリエルたちがいた。アリエルはバンデラスに頼まれて、アリーメンを提供していた。誰しもがその味を称賛し、バンデラスやソニアも替え玉を何度も繰り返すほどだった。
 しかし、そんな憩いの時間も空をよぎった見知らぬ敵機によって霧散した。敵機は撃墜され、生き残りは捕虜となり、軍による敵機の調査が行われた。しかし、その敵機は3カ国のどこのものでもなく、パイロットも似てはいるが違った言語を話す。極めつけは、言語学者によって解読された敵機の地図に書かれた文字だった。そこには、神聖レヴァーム皇国と書かれていた。


【感想】
 今回は楽しい学園生活が中心に描かれていました。とても楽しそうで、両手に花状態のカルエルが恨めしく感じます。
 カルエルは難なくクレアとの距離を着実に縮め、果ては二人きりで遭難キャンプですよ。なにこのリア充。やはりヘタレには主人公属性が必須なのでしょうか。読んでいて『めぞん一刻』の五代くんを思い出していました。
 ですが、それと同時に、クレアにカルエルが皇子かもしれないという確信めいた疑念が生まれました。クレアの凄絶な過去話も披露されましたし、クレアの祈りがとてもかわいそうに感じられました。
 また、アリエルにしても、これまでとは違ってきたカルエルとの関係にモヤモヤした気持ちを抱えていて、思春期らしさが出ていていいなーと感じました。カルエルが帰って来たときのアリエルの反応がとてもかわいらしいですね。
 他にも、今回は新キャラが多数登場して、これからの学園生活で彼らがどう活躍するのか楽しみです。
 そして『とある飛空士の追憶』の舞台ともなっていた神聖レヴァーム皇国の存在が出てきて、とても続きが気になります。
 






ダンディなダメ先生は、ここぞという時にスーパーダンディになるんですよね、わかります


  1. 2013/03/07(木) 14:18:53|
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