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大日本サムライガール 6 (星海社FICTIONS) 感想

大日本サムライガール 6 (星海社FICTIONS)大日本サムライガール 6 (星海社FICTIONS)
(2013/07/17)
至道 流星

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知らず知らずのうちに周囲から高評価を得る、お話


【簡略ネタバレストーリー】
 アメリカ大使館では、日米親善ビールパーティーが行われていた。そこへ現れたのは、DIAのクルス大佐だった。だが、壮司が会わせたい人物は彼ではなく、CIA東アジア支局長のローガンだった。ローガンの妻リリィと娘のメアリーも同席しており、メアリーは大ファンである日毬の参加を喜んでいた。
 ローガンから、日毬は中国政府から狙われていることや、CIAの立場が弱まっていること、壮司がCIAの諜報員であることを知らされる。そして、今回の目的は日毬とのパイプ作りであり、日本政府中枢への手助けもするというものだった。
 とりあえず、話を持ちかえることにした日毬の前に、クルス大佐が現れ、彼も日毬とのパイプ作りを望んでいた。
 帰りに、壮司がCIAに所属しているのは、いつの日かそれが日本のためになることだと思ったからだと知らされる。
 その二日後、クルス大佐からファッション交流会の誘いがきた。大使館に赴くと、そこで在日アメリカ大使のバーンズと対面し、アメリカが中国との戦争の可能性を視野に入れていることを聞かされる。しかし、そうなると日本も戦争に乗り出さなくてはならなくなるので、そのためにも富国強兵を訴える日毬の後押しをしたいとのことだった。
 このことは由佳里にも打ち明け、現状は保留で進めることに決まった。
 日毬と颯人は、深見、官房長官の持統、自友党総裁であり内閣総理大臣である桐生匡俊と会談を設けることになった。そこで桐生たちは、日毬に自友党に所属してもらいたいという旨、日本は日中関係の修復を望んでいること、しかしアメリカには逆らえないことを話した。対する日毬は、日本大志会と自友党の対等合併、そして日毬の自友党総裁就任が条件だと言い放った。もちろん即決されることはなかった。
 その後すぐに、民政党の神内がアポを取ってきた。彼の言うことは、ただ政権に返り咲きたいだけであり、そのためには日毬と党首にしてもいいと、むしろ乗り気で即決してきた。そのあまりの考えなしな決断に、日毬は呆れてしまう。
 各方面からアプローチを受けた日毬だが、颯人たちとの話し合いを経て、どこか一つと結びつくには早計だと判断した。
 一方で、杏奈プロジェクトのドーナツ屋は大繁盛していた。そこで、杏奈は別事業として、千歳を売り出すために自主製作番組をネットで無料放送することを提案し、颯人もそれを許可した。
 「アイドルの何気ある日常!」は、第1回から好調で、第2回には由佳里が登場し、その由佳里のキャラに目をつけたプロデューサーから連続番組として放送しないかという話を持ちかけられた。
 そこで、杏奈の提案により、由佳里をリポーターとして起用し、日毬、杏奈、栞、凪紗、そしてトリに千歳という順番で放送することが決まった。
 これによって、千歳の知名度は上昇したのは確かだった。
 しかしそれ以上に反響があったのは由佳里だ。出版社、新聞社、テレビ局などからいくつものオファーがやってきたのだ。由佳里は颯人からの許可をもらって、オファーを受けていった結果、ビジネス書はベストセラーとなり、その快活な性格もあってか、テレビでも人気を博し、いつしか働く女性の憧れの的となってしまっていた。ユカラーなんて言葉まで流行り出した始末だ。
 そこで颯人は、会社の宣伝のためにも由佳里を社長に、杏奈を新たな取締役に据えることにした。颯人自身は副社長に降格した。
 そんな由佳里の活躍を祝して、佐歩や森も含めた祝賀パーティーを開くことが決まった。もちろん、由佳里には内緒のサプライズパーティーだ。
 ホテルの宴会場を貸し切り、パーティーは盛大に催された。そんな皆の心意気に感極まった由佳里は、思わず涙をこぼし、嗚咽混じりに感謝の言葉を述べた。
 颯人も、普段通りに堅苦しくも由佳里の前途を祝したスピーチをこなし、ガラにもなく茶化した言葉で締めた。
 そして、恒例ともなった日毬の乾杯の音頭をとって、ひまりプロダクションの成功を祈りながら、パーティーは楽しさを増して行くのであった。


【感想】
 前半と後半の落差激しすぎ!
 前半は国内を飛び出して海外からのお呼びがかかったり、現実に即した外交模様が描かれていて、わかるようでわからないことが多かったよ。もっと高校で歴史について学んでいれば・・・地理じゃなくて世界史を選択していれば・・・!と思わずにいられなかった。
 ともあれ、壮司の謎や、国内の各政党の日毬への歩み寄りが顕著になっていて、面白味が増してきましたね。そこへCIAだのDIAが関わってくるのですから、政治というか国の中枢へ日毬が着実に侵食しつつあることが、物語の進展をわかりやすく伝えていると思います。 
 後半に関しては、千歳が不憫でしかない。
 千歳プッシュのはずが由佳里にスポットライトが当たってしまうとは。薄幸の美少女千歳。
 個人的にこの作品で一番好きなキャラが由佳里だったので、こうして彼女が活躍するようになったことが嬉しいやら寂しいやら、微妙な気持ちです。
 彼女には脚光を浴びるアイドルたちと対比するように、表舞台に立たずに、颯人に一番近くて少し遠い存在であってほしかった。ですが、やはり彼女のカリスマ性というか人を引き付けるような魅力があるからこその結果なのでしょうね。
 



きっかけ一つでたちまち隆盛してしまうのは、もはや至道流星さんの特徴ですね。・・・シャレじゃないよ?
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  1. 2013/09/16(月) 23:13:10|
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スピットファイア 魔術師スカンクシリーズ 2 (星海社FICTIONS) 感想

スピットファイア 魔術師スカンクシリーズ 2 (星海社FICTIONS)スピットファイア 魔術師スカンクシリーズ 2 (星海社FICTIONS)
(2013/05/16)
江波 光則

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後先構わず欲望の赴くままに行動する、お話


【簡略ネタバレストーリー】
 自分たちの欲望とルールに則る行為をする。それが、ならず者である弦と春鷹だ。
 二人の通う高校ではいじめという言葉も生ぬるい行為が、沙都という少女に降りかかっていた。すでにその少女は行方不明となっていた。そしてその行為を行っていた凌麻と倫子を、二人は殺してもいいクズだと認識していた。そして実際に殺そうとしている。
 二人と沙都は話したこともないような仲だ。ただ二人は、クズを殺したいだけだ。
 夜中に、ボンボンの春鷹が所有する貸しガレージにあったシェビーバンに乗り込んだ二人は、道中で凌麻の下っ端だった真理夫を拉致して凌麻に渡すはずだった薬物を入手する。
 そんまま凌麻をおびき出そうとするが、凌麻の電話番号がわからないので真理夫の家で待ち伏せしていると、車に乗った凌麻がやってきた。
 春鷹はシェビーバンをその車に突っ込ませた。結果、凌麻には逃げられたが、同乗者の男を拾い上げた。
 男は佐々木祥一という刑事だった。彼は彼なりに凌麻に近づいていたらしい。そして現在二人の握る薬物の受け渡しができなことが、彼の立場を悪くするようだ。
 祥一にも凌麻の居場所はつかめないらしい。その代わり、人海戦術や情報力が豊富な組織力を持つやくざの組長、竜胆の番号を教えられる。
 二人は一旦ガレージに戻った。弦は竜胆に薬を渡す代わりに凌麻を見つけることを約束させた。
 すると、弦の元保護観察官であり、春鷹の従姉兼二人の体育教師である利香子がやってきた。その利香子がシェビーバンに興味を示し始めた。さらには竜胆から凌麻を見つけたという報告も入り、グリードというバーで待ち合わせとなる。
 二人は利香子を振り切ろうとしたが、あえなく弦だけは利香子につかまり、事情を話せる範囲で話すしかなかった。
 利香子の車で春鷹を追っていると、春鷹のシェビーバンが凌麻に襲われている現場に出くわした。二人はその場をなりゆきで利香子に押し付けて逃げ出した。ちなみに、凌麻は屈強な男だが、利香子はそれ以上だった。
 それから邪魔な真理夫を逃がし、祥一の目的が友人の娘である沙都の居場所を突き止めることだと知った二人は、祥一と協力して沙都の居場所を知るであろう凌麻を探すことになった。
 沙都の父親である将道は正義を体現したような男だった。だから警察内外に敵が多かった。祥一は同情から将道に協力していた。
 祥一のアテとして、あるラブホテルにやってきた。そこでは薬中がきままにパーティーを繰り広げており、その中の榊という男に凌麻の居場所を聞いた。報酬として真理夫から奪った、ショベルヘッドというスカンク特製の薬物をちらつかせた。
 すると、その薬物の話を聞いていた倫子が姿を現した。弦が、倫子は沙都を辱めた張本人だと言うと、祥一が逆上したが、倫子のブラックジャックによって失神する。
 それと同時に、弦は無意識に手にしたナイフで倫子を殺しかかった。が、ギリギリで踏みとどまった。それは倫子が女だったからだ。女は殺しにくい、ただそれだけだった。
 榊は失神した祥一から薬をかっさらうと、弦にパームツリートップという場所に隠し部屋があることを告げてどこかへ行った。
 一方、殺されかかった倫子は弦に惚れた。倫子は自分を強く欲する相手を求めていた。その感情が恋慕だろうと殺意だろうと関係なかった。
 そこで、パームツリートップという違法ガールズバーで働いていた倫子は、凌麻を見つけて弦に連絡をよこすと言う。
 弦たち3人はパームツリートップ近くで倫子からの連絡を待っていたが、倫子から隠し部屋を見つけられなかったと告げられた。
 その時、パームツリートップにある男が入っていった。その男こそが将道であり、将道の無鉄砲さを知っている祥一は慌ててパームツリートップへ向った。二人もそれを追う。
 そこでは元総理の矢次國昭が将道に銃口を向けられていた。祥一は、将道がここを家捜しすることに気が付き、面倒事に巻き込まれたくないがために3人は逃げだした。
 非常階段を下ると、そこにスカンクがいた。スカンクも、自分の薬を持ち逃げされた凌麻に腹が立っていて、凌麻を探していたのだ。その凌麻は、矢次に沙都をうっぱらっていたことから、矢次に逃走ルートを確保してもらっていた。
 だが、凌麻はまだ逃げていないと見ていたスカンクは、ビルを炎上させて凌麻をあぶり出した。パームツリートップからは倫子たちが美げ出してきたが、将道と矢次が現れないことから、祥一はそっちの様子を見に行った。
 すると、火あぶりから逃げ出してきた凌麻に、春鷹は鉄パイプで頭を叩かれるが、その代わり弦が凌麻の指二つと胴体を切り裂き、スカンクは凌麻の左目に銃弾を撃ち込んだ。そんな重体でも、凌麻は逃げ切った。
 スカンクは凌麻の逃走先にアテがあるようだったが、二人はシェビーバンの持ち主にシェビーバンを返しに行かなければならなくなり、スカンクから場所だけは聞き出した。
 シェビーバンの持ち主はある夫婦で、仕事で使うらしかったが、ボロボロになったシェビーバンは使い物にならないと見放し、鍵をかけたまま帰ってしまった。
 すると倫子から凌麻を病院でみかけたがすぐに逃げ出したと聞かされる。そこで、足を確保するために、倫子からの情報で真理夫の車を奪うことにした。
 結果、真理夫を半ば脅迫して車を『貸して』もらった。春鷹は倫子がついてくることを嫌がったが、彼女に対する苛立ちは、弦同様に殺意にまでは発達せず、倫子は強引に同乗してきた。
 道中、倫子と春鷹は激しい口論を繰り広げたが、その度に弦が取りなしていた。
 スカンクの言っていた場所は港だった。そこに辿り着いた途端、黒塗りの車の集団に囲まれる。そこから姿を現したのはやくざだった。そこには竜胆もいた。竜胆は矢次から将道を殺す依頼を受けて、将道の標的である凌麻を追っていた。そして弦たちに手出しをするなと忠告して去った。ちなみに、スカンクの薬も取り返して行った。
 その後、車を移動させていた春鷹が祥一を見つけて、それを尾行するという連絡が入る。弦と倫子は春鷹からのさらなる連絡を待つ間に、過去や未来について語った。
 すると春鷹から連絡が入り、現在、とあるラブホで祥一と将道と凌麻といっしょにいて、将道は凌麻に銃口を向けてさらに部屋のまわりはやくざに囲まれている状況らしい。
 二人はタクシーで向かうと、ラブホ前に竜胆がいた。竜胆に追い返された弦は、真理夫の車で何かをしようとした。
 そこでふと、弦は倫子にどこまで付いてくるのか聞くと、倫子は殺意とは別に自分に好意を抱いていないのかと問い返してきた。弦は倫子との堕落しながらも幸せな未来を夢想したが、自分にそんな幸せは似合わないと直感で感じ、倫子を遠ざけた。そこで二人は離れた。
 弦はしたことのない運転にもたつきながらも、車をラブホの入り口にぶち込もうとした。が、先に見覚えのあるシェビーバンが突っ込んでいた。どうやらあの逃がしや夫婦が矢次の手配だったらしい。
 ラブホからは傷ついたやくざたちが出てきており、弦は春鷹を探し始めた。すると祥一と出くわし、春鷹のいる場所へ急いだ。
 辿り着いた先で、春鷹は凌麻を原形をとどめないほどにボコボコにしていた。春鷹は小柄でありながら100kgを超える筋肉質であった。そんな規格外の彼だからこそ、非現実のアニメやマンガで自制していた。
 そこへ夫婦がやってきて、一応生きている凌麻を連れていった。弦たちもここで争うのは分が悪いことを悟り、何もしなかった。
 ラブホを出たところで、スカンクが二人を待っていた。スカンクは、弦の人を切り裂きたいという欲望や非社会性に目をつけて、自分の助手にならないかと提案してきた。そしてその就職試験として、逃走先の凌麻を殺すことを提示された。
 逃走先はどこかの離島だった。春鷹と弦はリゾート気分を満喫した後、逃走してきた凌麻を殺そうとした。だが、弦は凌麻を殺さなかった。みじめな姿で弱弱しく怯える凌麻に、弦は殺意が湧かなかった。




【感想】
 今回もいい感じに狂っていましたね(褒め言葉)
 前回も主人公は男子高校生でしたが、今回はより青っぽさというかガキっぽさが出てて、犬村さんの言うとおり、青春って感じがしましたね。特に、いがみ合っているのに噛み合っている弦、春鷹、倫子の会話がそれっぽいし、面白い。
 弦は、従兄弟によって裂かれた腹の傷があるからこそ、人を切り裂きたいという欲望に目覚め、その欲望が発露するときに、きっかけとなった従兄弟の飼っていた猫の姿や声を幻視幻聴するのですね。
 前回登場した将道や逃がし屋の夫婦が今回も登場してました。シリーズ通して出番があるのはスカンクだけかと思っていましたが、そうじゃないんですね。こうなると、時系列は同じで、違う場所で違う人物が騒ぎを起こす、ちょっとしたクロスオーバーじみた要素のある作品になりそうな予感がしますね。
 シリーズ最終であるスーサイドクラッチは、ドラッグの名称として今回登場しましたが、次回はそのドラッグの使用結果を巡るようなストーリーになるのでしょうか。残された謎や人物の行方なんかも気になりますね。
 なんにしても、次回も独特の常識から逸脱した人物たちの登場と、ダークな内容に期待しております。







スピットファイアは昼に読むと魅力3割減だよ


  1. 2013/06/09(日) 00:07:24|
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大日本サムライガール 5 (星海社FICTIONS) 感想

大日本サムライガール 5 (星海社FICTIONS)大日本サムライガール 5 (星海社FICTIONS)
(2013/04/16)
至道 流星、まごまご 他

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人の抱えた野望が実現の足掛かりを掴む、お話


【簡略ネタバレストーリー】
 第7回目を迎えたひまりんプロジェクトは、杏奈を始めとしたアイドルと有識者に栞を含めた討論を行っていた。テーマは官僚機構。日毬は官僚機構の腐敗を指摘しながらも、自らの独裁で官僚機構が本来あるべき姿を取り戻させると主張し、栞はそんな日毬の独裁体制を批判する。それに未熟ながらも杏奈も意見を出し、有識者や現役国会議員も意見を発し、喧々諤々とした回となり、視聴率も好調だ。
 番組後には、日毬と杏奈と千歳で仲良くお茶もしていた。
 その後事務所に戻ると、日毬から栞の歓迎会をやろうという提案が出る。経営会議で栞の売り出し方を、ゴーストライターを用いた作家方面で始めることを決めたついでに、颯人はそのことを由佳里と壮司に告げると、いっしょに日毬の誕生会もすることに決まる。
 歓迎誕生会の当日は、高級ホテルの宴会場を貸し切って、盛大に行われた。二人もそんな会社の心遣いに感激した。とはいえ、数人程度の集まりなので、話す内容は内輪ネタとなる。その中で、凪沙の自虐癖が相当だということもわかる。
 翌週の経営会議では、壮司がきれいなネット政治推進協会の雑事を請け負い、由佳里は凪沙の写真集、颯人は栞の作家デビューを担当することと決まった。
 その時、由佳里が幼馴染が始めたドーナツ屋をプロデュースしたいと言い出す。そこへ、颯人はKaguraのような事業展開ができるのではないかと提案する。
 翌日、颯人は由佳里に案内されて銀座の隅っこにあるドーナツ屋へ赴いた。由佳里の親友である芹沢佐歩が営むそこは、女性客には人気の店であった。佐歩と由佳里が恋バナに花を咲かせていると、颯人は佐歩の店のプロモーションをすることを決める。
 事務所に帰ると、当初予定していた広告塔である千歳では広告効果が薄いのではないかと颯人が提案した。同席していた栞が名乗りを上げるが、栞とドーナツは連想しにくいので却下となる。日毬はドーナツが食べられない。広告塔は保留にし、とりあえずテレビ局への売り込みは由佳里が担当し、事業計画自体は颯人が担当することになった。
 颯人が栞にゴーストライターを当てることを嫌がっていた栞だが、颯人が栞のことをマルチタレントだと持ち上げると、ころりと態度を変えたのだった。
 きれいなネット政治推進協会の説明会が、世話になった緒方や原田を招いて行われた。蒼通を介していたことや、国の関連事業であることから、ニュースでも大きく取り上げられた。
 一方で、颯人は壮司に記者のランク付けをさせていた。要点は日本大志会に対して肯定的か、という点。そして壮司が見込んだ記者たちを集めてインナーサークルを作り上げることとなった。これにより、インナーサークルの記者たちに優先して日本大志会の情報をリークすることで、日本大志会に関する情報を颯人たちが操作することができるようになる。
 第1回目のインナーサークルは忌憚のない意見を交わしあい、成功を収める。
 ドラマの端役をこなした栞に、颯人はゴーストライターの書いた原稿を渡した。だが、あまりの低知識層向けの内容に苦言を呈する栞。しかし、颯人が栞のことを居丈高だと指摘したことから、渋々ながら栞は原稿を認めた。ちなみに、生徒役として登場していた千歳には、わかりやすいと好評だった。
 颯人は最近の由佳里の成長に危機感を抱いていた。上司である自分が部下よりプランニング能力が低いわけにはいかない。颯人はドーナツ屋をチェーン展開させるためにも、財政危機にある欧州の老舗菓子店を買収しようと、大手証券会社に調査を依頼していた。その中からロシアの1店に狙いを定めた。同時に、建築デザーナーに内装の依頼もこなす。
 さらに、颯人は広告塔として杏奈を起用することを提案し、さっそく西プロダクションの西社長にアポイントをとった。西社長はギャラが正当であることを確認すると、杏奈を呼び出した。
 すると、杏奈は颯人とサシで話しがあるのだといってホテルのフレンチレストランへ誘いだした。
 そこで、杏奈はドーナツ事業を担当する会社の社長に自分を据えてほしいと頼んできた。それは、杏奈がこの先女優になるつもりはなく、それよりももっと人に喜ばれることを自分で想像していきたい、日毬みたいに自分を貫きたい、という想いから発せられていた。
 宣伝効果のある試みのため、颯人はそれを承諾する。とはいえ、西プロダクションがそこまで杏奈をひまりプロダクションと関わらせるわけがない。だから、杏奈はひまりプロダクションへの移籍を提案してきた。
 当然、それは西社長に認められなかった。颯人も譲歩できる最大条件を提案するが、それも断られる。
 由佳里は杏奈引き抜きの話に興奮するが、話しは簡単じゃない。そこで、颯人は改めて四季報で西プロダクションがどのような企業なのかを確認した。すると、不況の上芸能プロダクションであるせいか東証1部上場しているわりには正当な評価を受けておらず、株価が低迷していることに気付く。そこで、壮司に指示を出して買収まではいかずとも、西プロの株を特別会議で拒否権を持つことのできる株式の1/3%を買わせることにした。その方が杏奈獲得には安上がりだからだ。株を買うことだけは西社長にも連絡は入れておいた。
 ところが、西社長は颯人の動きを買収目的だと勘違いし、強硬体制に入ってしまう。
 颯人は西プロへ赴き、西社長とブラフによる化かし合いに勝利し、当初の移籍契約で納得してもらえるように取り計らった。
 翌日、西社長がひまプロに赴き、杏奈の移籍を認めることを約束した。条件は、移籍金5億+この先5年の杏奈の売り上げの25%献金と現在株価での株の譲渡だった。西社長にとって杏奈は娘みたいなものだったせいか、それから西社長は杏奈との思い出を語り始めた。
 それから、杏奈がひまプロ事務所にやってきて、実は日本大志会の党員であり壮司よりも党員番号が上なことに壮司が敬意をはらったり、日毬が杏奈の熱烈なアプローチに困ったりということが起きていた。
 その後、株式売買契約と移籍契約を交わした颯人と西社長は、杏奈のマネージャーである森もいっしょに転職させることにした。でも、森はついででどうでもいい存在だった。
 森は森で、突然の転職提案に戸惑っていたが、年収600万を提示されて心揺さぶられ、転職することに決めた。
 翌日、西プロはMBOを発表し、上場市場から手を引いた。西プロは芸能事務所唯一の東証1部上場企業だっただけに、芸能界の歴史の一部が変わった出来事でもあった。
 それから、佐歩、杏奈、森を新会社の取締役と正社員とすることが決まった。資本金は2億5000万円で100%ひまプロ出資の子会社である。売り込み方は、欧州の老舗菓子店が日本に上陸するという筋書きだ。だが、ドーナツの味は佐歩の味が使われる。会社名は、颯人が適当に思いついた「杏奈プロジェクト株式会社」が杏奈に気に入られて採用となった。
 杏奈が西プロに出社する最終日、なぜか誰もがよそよそしく、西社長にいたっては無視を決め込む。森も辛辣な態度で接してきて、杏奈は泣きそうになる。
 だが、杏奈がエントランスにやってくると、そこには西プロダクション社員全員が杏奈の花道を作って待っていた。誰もが杏奈の門出を祝う声を投げかけていた。皆の心意気に心打たれた杏奈は滂沱し、佐最後には西社長から花束を受け取り、社員たちに向けて出立の決意とこれまでの感謝を述べた。西社長はうずくまり、男泣きをした。
 颯人は杏奈の実家がある大宮へ挨拶に伺っていた。美城春菜(杏奈の実名)の実家は神職で昔は神社だったらしいが、都市開発で土地を売ってしまっていた。父親はいまはサラリーマンだ。両親が言うには、杏奈にはここぞというときは外さない直感があるのだとか。
 杏奈の移籍記者会見で新会社の社長就任も発表した。それから、杏奈の歓迎会を催し、人数も増えたことで事務所移転の話が持ち上がる。それとは別に、杏奈の直感が壮司は何かを隠していることを見抜いた。
 それからは、杏奈に店舗展開の話しをしたり、経営会議にこれからは杏奈を参加させることや、杏奈を社長として育てるために、颯人と由佳里がバックアップ態勢に入ることが決まった。
 それから杏奈は、ピザを合わせたドーナツの宅配サービスを提案したり、出店計画も順調にこなしたりと、颯人を感心させた。そんな杏奈を見て、颯人は自分のプランニング力が杏奈や由佳里に劣ることを認めてしまう。さらに、杏奈は千歳のプロモーションとして、ひまプロの日常をドキュメンタリー仕立てにした番組の提案もしてきた。
 それとは別に、日本大志会が党員3万人を突破したことで、記念党大会開催が決定された。都内のホテルの会場を貸し切って行われ、栞が司会を務めて会場を沸かす。そして日毬の演説はいつも通りに行われた。招待客の中には国会議員や左翼政治家も混ざっていた。
 党大会が終わると、2回目のインナーサークルが行われ、議会進出の話が立ち上がっていた。
 その直後、壮司を通して民政党代表代行の神内が日毬にコンタクトをとってきた。内容は民政党からの日毬出馬願いだった。だが、日毬はすげなくそれを断る。
 そのすぐ後には、今度は緒方を通して自友党の幹事長深見がコンタクトをとってきた。傍らには緒方と政調会長がいる。こちらも、神内と話す内容は同じだった。もちろん、日毬はここでも話を袖にした。
 だが、日毬はこの事態を重く受け止め、これらの与野党を利用してのし上がるべきなのではないかと考え始める。
 このことはインナーサークルでも報告した。だが、当面は推測という形で記事になることとなる。
 事務所移転の日。なぜか移転先のビルに公安の黒谷がやってきて、しつこく話しかけてきた。内容は公安から日本大志会への資金援助だった。公安の狙いが分からないのに資金を受け取ることは危険なため話し半分に聞いていた颯人と日毬は、さらにその援助の額が毎月100万円という小額なことに驚きを隠せなかった。
 その後、不動産契約を終えた壮司が戻ってくると、颯人と日毬を連れてどこかへ向かった。向かった先はアメリカ大使館だった。壮司は日毬への忠誠を疑わないでほしいと告げながら、二人を大使館の中へと案内していくのであった。





【感想】
 FOOOOO!ひまプロの勢いが止まるところを知らないんだぜ!
 今回の目玉は二つありました。そのひとつが杏奈の電撃移籍。まさか杏奈がここまで幅を利かせるようになるとは、1巻で出てきたときには思いもよりませんでしたね。
 その杏奈が新会社の社長に就任したり、予想以上に芯の通った素敵な女の子であることがわかったりと、ヒロインになるには十分の素質を持っておりました。それに比べて、2巻で守銭奴アイドルなんて謳っていた彼女の低迷ぶりといったら・・・。
 それと、杏奈と話している時だけは、日毬もかわいらしい喋り方をしていますね。これも文通だったり、同年代の同業者の友達という環境が作り上げた素晴らしいひとコマですね。
 あとは、今回のことで確定的だと思いますが、基本的に表紙の女の子がその巻の目玉になるようになっていますね。次回に新キャラが出て表紙を飾るのか、はたまたついに由佳里が表紙となるのか、その辺も楽しみだったりしてます。
 由佳里と言えば、由佳里は颯人と二人きりの時だけは、いつもとはちがったフランクな雰囲気を醸している気がしますね。これも颯人へのアプローチだったりするのでしょうか。こういうときの由佳里は普段の2割増しで可愛い気がしてます。個人的に。
 そしてもう一つの目玉は、与野党の大幹部との接触ですね。
 党代表代行やら幹事長やら、日本政治の核に近い人たちばかりとの会談が早くも組まれたことに驚きました。そんなに簡単に出てくるものか?と思いましたが、きれいなネット~に登録されてたり、党員が3万人越えて、日毬は右翼界のドンなんて言われるようになっちゃってるなら接触してくるものか、と思い直しました。
 そしてそれらをあえなくフイにするひまりん!俺たちにできないことを平然とやってのける!そこに痺れる憧れるぅぅ!
 ですが、与野党を利用するのもアリだと考えているようなので、日毬が直接関わらないにしても、なんらかの関係性が出来上がってくるかもしれませんね。
 それとは別に、ラストの行く末も気になりますね。なぜ壮司がアメリカ大使館へ二人を連れてこられたのか。もしかして壮司はFBIとかCIAとか、そこらへんに所属しているのでしょうか?杏奈の直感が見事的中しているあたり、伏線回収が早いなーと思わされました。まあ、伏線というかフラグみたいなものでしたね。
 ともあれ、芸能、経済、政治がバランスよく盛り込まれていた巻だと思います。なにげに西プロ買収しかけたところの流れも好きだったりします。『羽月莉音の帝国』の前半部分を思い出させるような内容でした。
 


もう普通に局に優遇される立場になっちゃってる辺り、プロパガンダ機関一歩手前ですよね


  1. 2013/04/28(日) 23:44:32|
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ストーンコールド 魔術師スカンクシリーズ 1 (星海社FICTIONS) 感想

ストーンコールド 魔術師スカンクシリーズ 1 (星海社FICTIONS)ストーンコールド 魔術師スカンクシリーズ 1 (星海社FICTIONS)
(2013/02/15)
江波 光則、中央東口 他

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合理主義者が損得抜きの生活を送る、お話


【簡略ネタバレストーリー】
 悪徳資産家の息子である雪路は、父親の逮捕から一転して、学校でのスクールカースト最底辺に転落してしまった。そして、いじめによるガスガンの球が左目に当たり、失明手前まで来ていた。
 雪路はいじめられてこと自体にいらついてはいなかった。彼は父親から教わった厳粛な等価交換と損得勘定で物事を測っていた。だから、いじめてくる連中は、いじめるだけの対価を雪路に与えていないことが、彼には納得がいかず、怒りが込み上げてきたのだ。
 そして復讐の手段は銃殺。左目を負傷した日に出会った、将道という死にかけの警官からもらったベレッタがある。射撃は海外で経験済みだ。
 また、学校を平穏に過ごすため、雅と光輝という主犯格にこれまで溜めていた貯金から100万円を渡すから、クラスでそれとなく攻撃を控えるようにするように交渉した。
 拳銃の弾は8発しかなかった。クラスメイトは24人。雪路は弾を確保するために、刑務所にいる父親と面会し、祥二という警察官の持つ自分の手帳を貰いに行けという。
 祥二とは、雪路の父親のような裏社会の人物と癒着している警察官だった。そこで雪路は逃がし屋夫婦の存在や、スカンクという神出鬼没のクスリのバイヤーに、南雲という銃器を取り扱う人物を教えてもらう。
 南雲から弾を買い、試射を終えた雪路の元に、光輝が現れる。光輝は雪路にもらった50万をはやくも消化し、さらなる催促を促してきた。雪路はそのまま光輝を校門前まで誘導すると、銃殺した。
 翌日ニュースとなるが、高校生である雪路が疑われることはない。学校の様子を見た雪路は、この学校をコロンバイン高校のようにしてやろうと画策する。とはいえ、クラス全員殺すとさすがに容疑がかけられる。だから逃走のことに頭を巡らせていると、家に真波がやってきた。
 真波は家が借金まみれでいじめられ、高校を中退した元クラスメイトだ。彼女は以前、雪路相手にに処女を換金していた。そんな彼女は両親に失望して雪路のところへやってきたのだ。彼女はとくに金を求めることはなかった。だか、彼女を泊める代わりに、二人は肉欲におぼれた。
 雪路は逃がし屋夫婦の夫である桐雄に、10年ほど隠れる手段を教えてくれと頼んだ。だが、10年という期間は長すぎるようだ。ただ、戸籍を入れ替えることはできるかもしれないということで、雪路は桐雄に同伴することにした。そこで、嫁は息子を薬中にした売人を血眼で探していることを知らされる。戸籍は手に入らなかった。
 ずっと休んでいた学校へ行くと、雅が行方不明であることを知らされる。雪路は祥二にそのことを訊いてみるが、手がかりはない。ただ、薬をやっているかもしれないという話になり、調査を依頼した。
 すると案の定手を出していた。そこで、雪路は雅を見つけ、100万をやるから戸籍謄本や保険証を持って来いと指示を出した。
 翌日、雪路の家に来た雅は、いじめられていた真波のうさばらしの対象にされ、最期には雪路の部屋の風呂場で殺された。
 戸籍を手に入れた雪路は桐雄に連絡を取り、より完璧な戸籍にするように依頼した。それとは別に、雅の死体処理も依頼すると、スカンクを紹介された。
 スカンクの連絡先は、桐雄や南雲のように父親の手帳に書かれていた。しかしすぐに連絡は取れなかった。
 休校になっている間、二人は1日中まぐわっていた。二人は愛し合っていた。
 そんな時に、スカンクとコンタクトを取ることができ、彼が家にやってきた。死体はボロボロで、引き取りたくなさそうだったスカンクだったが、さらに死体を作ると言うと喜んで持って行って。さらに、雪路の左目を死体の目を使って直せるかもしれないと言ってきた。
 次に殺すクラスメイトは聡美という女生徒に決めた。真波は聡美にいじめられており、聡美を選んだのは真波の希望だ。さらに、聡美は光輝の彼女だったからか、容易に誘いだすことができた。
 それとは別に、友弥とクラスの男子に呼び出された。彼らは、雪路と一連の事件が関係あると、なんとなく察していた。だから、雪路に許しを請うた。だから雪路は、次に会う時に男子だけじゃなく女子も連れて、賠償金を持って来いとだけ言った。
 河原に聡美を呼び出す日。雪路は桐雄に連絡して、息子を薬漬けにした犯人であるスカンクと接触するので、スカンクの居所を伝達したら、真波もいっしょに逃がして欲しいと依頼した。
 聡美は美紀という友人も連れて来ていた。そんな彼女たちと対峙したのは真波だった。真波の登場で困惑している彼女たちに、雪路は銃口を向けた。あっけなく彼女たちは死んだ。
 すると、タイミング良くスカンクがやってきて、二人をトラックの荷台に乗せて行った。その内、美紀の目を移植するため、雪路はスカンクのトラックに同乗し、睡眠薬で眠らされた。
 雪路が目を覚ますと、自分の部屋にいた。そして、左目は視界を取り戻していた。
 学校へ行くと、友弥たちに呼び出され、女子は来ないし、多額の賠償金も支払えないことを告げられる。だから雪路は、次に、全員分の通帳とクレジットカードを持ってこさせるようにした。
 これで真波との逃走資金の確保が出来た。ただ、スカンクを追っているであろう逃がし屋夫婦とは連絡が取れなかった。
 2週間後、学校の用具室に行くと、クラスメイトが全員そろっていた。雪路の鞄の中には弾倉とベレッタが忍ばしてある。友弥たちは自己肯定することで、雪路を批判し、支払いを拒否した。
 だから雪路はその辺にいたクラスメイトを撃ち殺した。
 その調子でどんどん発砲していく。誰もが状況についていけなかったが、友弥だけが雪路に襲いかかり、銃を奪う。だが銃を撃ったことのない友弥の弾道は逸れ、クラスメイトを殺し、彼はリコイルショックによる脱臼に絶叫した。
 そこからはただの的当てゲームだった。
 全員を殺害し終わった雪路は、真波に連絡を入れて逃走のための品を持って来させた。待っている間にスカンクから連絡が入り、逃がし屋夫婦は死んだことを告げられる。
 そして真波がやって来た頃には、銃声によって通報されたことを教えるように、警察が倉庫を取り囲んでいた。
 逃げることを諦めた二人は、警官にひきはがされるまで、キスをした。



【感想】
 暗い、というよりダーク、って感じでした。なんか説明しづらい。
 こういう話の主人公らしく、冷徹でいてどこかにきちんとした感情もちらほら見かけることのできる主人公でした。人を殺す時は淡々としていて、でも祥二に指摘されたように動揺していたことを吐き気や肉欲で発散していたあたりが人間らしく思わせてくれます。
 スクールカースト、という触れ込みが読む前に印象付けられていたのですが、あまりそういう要素はなかったように感じました。それというのも、いじめられている雪路が泰然としていることや、学校の人間関係の描写より、雪路が裏社会にハマっていくところや、真波との爛れた生活に重点を置いていたからのように思います。
 ラストのエクペンダブルス状態が結構爽快でした。終わり方も、なんとなーくしんみりしてます。
 この作品シリーズものらしいですが、主要人物はスカンクのようですね。今回は、薬と使ったり神出鬼没だという抽象的な要素だけで魔術師呼ばわりされていたので、そういった彼を構成する要素の背景がどのようなものなか、気になります。





それほど陰鬱にならずにスラスラ読めた



  1. 2013/03/26(火) 00:11:35|
  2. 星海社FICTIONS
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大日本サムライガール 4 (星海社FICTIONS) 感想

大日本サムライガール 4 (星海社FICTIONS)大日本サムライガール 4 (星海社FICTIONS)
(2013/01/16)
至道 流星、まごまご 他

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ピンチを救うのはいつだってライバルという存在なのだ、というお話



【簡略ネタバレストーリー】
 「ひまりんプロジェクト」という自分の政治系冠番組に、日毬は感動していた。これは政界進出の大きな一歩になると。しかし颯人は日毬ほど期待はしていなかった。これまで成功している政治討論番組は当たり障りのない着地点があるからこそ続いていた。しかし、日毬の強固な政治思想がはたして視聴者に受け入れられるのか心配なのだ。
 その一方で、凪紗が日毬の協力を得て撮影に臨んだり、黒谷が日毬を左翼と本質的には変わらないと評して日毬を怒らせたり、日毬と千歳のCD収録をこなしたりしていった。そんなこんなで順風満帆のひまりプロダクションは、経営会議にて今後の目標として、新たなアイドルの開拓と、Kaguraのようなブランドを独力で立ち上げる新規事業の模索、増えてきた日本大志会の資金で日本大志会の広報活動を進める、資金運用などの目標を立てた。
 そしていよいよ「ひまりんプロジェクト」の収録日を迎えた。現役議員や大学教授や自衛隊員など、各界から知識人を招き始まった番組は、予想よりも混沌としていた。その原因は日毬だ。日毬は司会者という立ち位置にもかかわらず、自らの主義主張を述べるばかりで、コメンテーター達から挙がる意見を一刀両断してしまい、議論の体をなさない状況を作り上げてしまったのだ。それでも日毬の政治番組ということで、1回目の放送は高視聴率を記録した。しかし、世間の声は困惑を露わにし、受け入れられることはなかった。日毬はショックを受け、落ち込んでします。
 そんな中で、颯人たちは経営会議で新規事業の話を進めていた。由佳里が「ひまりプロジェクト」に付随して、政治ポータルサイトの立ち上げという国家関連事業の提案をしたのだ。現行の公職選挙法ではネットでの選挙活動に関する言及話されていないものの、公職選挙法自体があやふやな法なため、政治家たちはなかなかネットでの活動に手が出ないのが現状である。そこで、一般社団法人を立ち上げ、ネットの公認選挙運動の場を設けようとしたのだ。自社の旨味は企業献金だ。資金は自社と蒼通などの財界から引っ張ることになる。
 この事業を確立するために、荘司が選んだ緒方という現職代議士の下を訪れる。緒方は元総務省の官僚だったことや、中央選挙管理委員の経歴を持つ。緒方はこの提案に同調してくれた。さらには、警察が避けては通れないことや、衆議院法制局へ話を持って行くべきだと言うアドバイス、立ち上げ後の天下りの調整や、政治献金のために法人に自身の部下を配することなどを取り決めた。
 それからは、蒼通やテレビ局や大企業へ営業に出向き、出資してもらうと同時に、緒方の紹介で警察庁のOBである原田に警察周りの協力を願い、緒方と同じように部下を引き受けることとなった。
 一方で、「ひまりんプロジェクト」は低迷し続け、杏奈などのアイドルを使ったテコ入れじみた実験放送もしてみたが、視聴率が上向くことはなく、日毬は自分のせいだと落ち込んでしまう。そこで、颯人は気分転換に、以前日毬と約束していたデートに誘う。デートでは日毬の好きそうな政治色の強いB級映画を鑑賞し、高級懐石料理に舌鼓を打ちながら、日毬のアメリカを敵に回しかねないような政治指針の話や、颯人の受けた帝王学に基づいた考え方などによる論議を交わした。日毬はこれに気を良くし、また時間がある時はデートをしようと約束するのだった。
 そんな悩みを抱える日毬と同じように、凪紗もモデル業をそつなくこなす方法を模索していた。凪紗が自然と穏やかな顔つきになれる方法として、脳内で剣道を絡めてカメラの前に立つようにする考え方が当たり、なんとか仕事をこなせるようになった。さらに、新しく立ち上げるサイトの案内音声も凪紗がすることになる。
 ある日、日毬は討論番組のゲストとして大阪に出張に出かけた。討論相手は槙野栞という若干18歳にして会計士の資格を持ち、コテコテの関西弁を喋る社会共産党員の少女だ。左翼を毛嫌いする日毬は栞と会う前から栞に嫌悪感を抱いており、栞の方も日毬と出会った瞬間から喧嘩を売るほど二人の仲は険悪であり、そんな中で番組は始まった。番組は予想通り荒れに荒れ、後半はただの口論になってしまっていたのだが、大阪のプロデューサーとしてはアリのようだった。
 収録後の控室でも二人の口論は絶えなかったのだが、そんな時に、ふと日毬が栞は「ひまりんプロジェクト」で使えるのではないかと颯人に提案した。颯人もそのアイデアを奨励し、タレントではない栞をひまりプロダクションに勧誘する。栞もすっかりその気になり、アイドルになることを承諾し、千歳や日毬の時のように親御さんに挨拶にうかがうことになる。
 栞の家はドヤ街である釜ヶ崎にあり、さらに栞の父親は社会共産党の元大物衆議院議員である槙野光造であった。しかし、光造は栞の育ての親であり、栞とは血のつながりはなく、妻はすでに他界している。栞は光造への義理のようなもので社会共産党に所属しているだけである。とはいえ、彼女自身がマルクス主義者で左翼を名乗っていることに違いはない。そんな父親であるためか、極右である日毬を見たとたんに激昂し、颯人は保護者の承諾を得ることができなかった。それでも東京へ行ってアイドルになろうとする栞は、勢いで親子の縁を切ると言いだし、光造も売り言葉に会言葉で承諾してしまう。
 これで保護者の承諾は必要ないと言う栞に困惑する颯人と日毬だったのだが、栞はそんな二人を気にも留めずに東京へ出発することを釜ヶ崎の住人に報告に回ることにした。栞の知り合いには浮浪者やブルーワーカーにお巡りさんにNPO団体の職員などがおり、その誰もが彼女の先行きを祝福していた。その後、颯人と日毬は栞の勧めるホテルに一泊した。
 翌日、颯人と日毬が栞を迎えに行くと、いまだに親子喧嘩は続いていて、その末に光造は家を出て行った。そして、栞は育ての母のいる仏壇にお参りを果たし、実家への未練を失くしたところで出発した。すると、最寄駅前に黒山の人だかりができていることに気づく。そこにいる人々は栞を送りだすために集まっており、激励の横断幕を掲げ、栞への声援とこれまでの思い出を語り続けた。彼らの心遣いに栞は涙した。
 彼らに別れを告げた栞と颯人たちは新大阪の新幹線に乗り込んだ。その時、栞に光造から電話がかかってきて、間もなくするとホームに光造が現れた。彼は丁寧に書きあげた保護者承諾書を颯人に渡し、栞へ少なくも貴重な財産を渡した。そしてこれまで素直になれなかった栞も、発車間際に光造へ向けて東京で一旗あげてくることを約束した。
 東京のオフィスへやってきた栞は、プロダクション関係者たちに歓迎された。そして、由佳里はさっそく栞をモデル、グラビア、「ひまりんプロジェクト」への参加などのスケジュール調整を行った。その中で、栞はなぜかグラビアにだけは難色を示していた。住むところも決めずにやってきた栞は、しばらくは千歳と同居することとなった。後日、颯人は千歳から栞が極度に着替えを覗かれることを嫌がっていることを知らされ、グラビアに好意的ではなかったことに関係があるのかと勘ぐる。
 そしてその真相は、日毬たちの撮影会見学で暴かれる。撮影後の控室に杏奈がやって来て、自己紹介をした栞の胸をもんだ杏奈が、栞の胸は偽物だと見抜いたのだ。栞は日毬に対抗するためにやったことで、なんとなく引っ込みがつかなかったのだそうな。そのことが微笑ましくて笑ってしまう颯人だが、栞に共感を抱いた比較的貧乳らしい由佳里に怒られてしまう。そいて貧優であることを気にする栞に、杏奈は気にすることはないと励まし、栞はその励ましを受けて、これからアイドルとして頑張っていこうと決意するのだった。





【感想】
 今回はこれまで以上に盛りだくさんの内容でした。
 ライバルの登場に、国家関連事業の着手、政治家とのパイプ形成に政治討論番組や日毬と颯人の濃い論議などなど、いれでもかとつっこんだ話が多かったです。そのせいか、知識の乏しい自分としては完全に理解することはできませんでした。ですが、政治や経済のことに疎くても、会話形式で話が進み、地の文で補足されるので、話の筋や内容ががそこそこ理解できるのがいいですね。
 栞の出番が後半からで、少ししか出ていないのですが、それを帳消しにするだけのバイタリティと個性を、彼女は持っていましたね。日毬との関係が予想以上に険悪で驚いたのですが、颯人が考えるように、ケンカするほど仲がいいってことなんでしょうね。日毬と栞の絡みは今回で十分すぎるほど披露されたので、次回から「ひまりんプロジェクト」やその他の場面で、栞がどう動いていくのか気になります。
 そして目立つことはありませんが、今回も由佳里の素晴らしさが随所で光っておりました。蒼通で見せた営業手腕や凪紗や栞への気遣い、超個性的なメンバーばかりのなかで、こういう庶民的感覚を持ち、かつ溌剌とした美人さんという彼女の存在が一服の清涼剤のようで和みます。颯人は早く由佳里に目を向けなさい。
 新規事業に政財界を絡めることで、この本の謳い文句である”政治・経済・芸能”に本腰を入れはじめた印象を受けます。『羽月莉音の帝国』のように、ここからどんどん話の展開を大規模な者にしていってもらいたいです!

 



数少ない挿絵でちゃんと千歳が描かれていることで、千歳が使い捨てキャラになっていなことに安心してる


  1. 2013/01/25(金) 23:02:13|
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